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平成24年-問33 民法 債権Ⅱ

Level4

問題 更新:2019-11-14 16:46:54

Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し(以下、この賃貸借を「本件賃貸借」という。)、その際、BがAに対して敷金(以下、「本件敷金」という。)を交付した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 本件賃貸借において、Bが甲建物のために必要費および有益費を支出した場合、特約がない限り、Bはこれらの費用につき、直ちにAに対して償還請求することができる。
  2. BがAの承諾を得て本件賃貸借に基づく賃借権をCに譲渡した場合、特段の事情がない限り、AはBに対して本件敷金を返還しなければならない。
  3. BがAの承諾を得て甲建物をDに転貸したが、その後、A・B間の合意により本件賃貸借が解除された場合、B・D間の転貸借が期間満了前であっても、AはDに対して甲建物の明渡しを求めることができる。
  4. BがAの承諾を得て甲建物をEに転貸したが、その後、Bの賃料不払いにより本件賃貸借が解除された場合、B・E間の転貸借が期間満了前であれば、AはEに対して甲建物の明渡しを求めることはできない。
  5. AがFに甲建物を特段の留保なく売却した場合、甲建物の所有権の移転とともに賃貸人の地位もFに移転するが、現実にFがAから本件敷金の引渡しを受けていないときは、B・F間の賃貸借の終了時にFはBに対して本件敷金の返還義務を負わない。
  解答&解説

正解 2

解説

1.妥当でない。

賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる(民法608条1項)。
したがって、必要費については妥当である。
これに対し、賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、その価格が現存する場合に限り、賃貸人の選択に従い、その支出した金額又は増価額について償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(民法608条2項、民法196条2項)。
したがって、直ちに償還請求することができるものに、有益費も含めている点が誤っている。

2.妥当である。

賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭)を受け取っている場合において、賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない(民法622条の2第1項2号)。旧賃貸人が賃貸借関係から離脱した場合において、新賃借人が新たに負担することになる債務についてまで旧賃借人が担保しなければならないとすると、敷金交付者に敷金設定契約時に予想していなかった不利益を被らせてしまう結果となるからである。ただし、敷金交付者が、賃貸人との間で敷金をもって新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡する場合は、この限りでない(最判昭和53年12月22日)。
したがって、AがBに本件敷金を返還しなければならない、とする記述は妥当である。

3.妥当でない。

賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない(民法613条3項本文)。
合意解除においては、賃借人において自らその権利を放棄したことになるのであるから、これをもって第三者に対抗し得ないものと解すべきであり、このことは民法398条、民法538条の法理からも推論することができるし、信義誠実の原則に照しても当然のことだからである(最判昭和31年4月5日)。
したがって、AB間で賃貸借が合意解除されても、AはDに対して甲建物の明渡しを求めることはできない。

4.妥当でない。

賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない(民法613条3項)。
したがって、B(賃借人)の債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、A(賃貸人)は、E(転借人)に対して、甲建物の明渡しを求めることができる。

5.妥当でない。

賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、費用の償還に係る債務及び敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する(民法605条の2第4項)。
したがって、現実にFがAから敷金の引渡しを受けていないときも、B・F間の賃貸借の終了時にFはBに対して本件敷金の返還義務を負う。

なお、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継される(最判昭和44年7月17日)。

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