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  4. 問29

平成24年-問29 物権Ⅱ

レベル3

問題 更新:2015-10-25 01:55:08

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 甲土地が乙土地に囲まれて公道に通じていない場合、AがBに対して囲繞地通行権* を主張するためには、Aは甲土地の所有権の登記を具備していなければならない。
  2. 甲土地と乙土地は元々一筆の土地であったが、分筆によって他の土地に囲まれて公道に通じていない甲土地が生じ、これによりAが乙土地に対する無償の囲繞地通行権を有するに至った場合において、その後に乙土地がCに売却されたとしても、Aは当然にCに対してこの通行権を主張することができる。
  3. AがBとの間の賃貸借契約に基づいて乙土地を通行している場合において、その後に甲土地がCに売却されたときは、これによりCも当然に乙土地を通行することができる。
  4. Aは、少なくとも20年にわたって、自己のためにする意思をもって、平穏、かつ、公然と乙土地の一部を通行していれば、A自らが通路を開設していなくても、乙土地上に通行地役権を時効取得することができる。
  5. Aが地役権に基づいて乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後にCが通路の存在を認識しながら、または認識可能であるにもかかわらず認識しないでBから乙土地を承継取得したときは、Cは背信的悪意者にあたるので、Aの地役権設定登記がなされていなくても、AはCに対して通行地役権を主張することができる。

(注)* 囲繞地通行権とは、民法210条1項に規定されている「他の土地に囲まれて公道に通じていない土地」の通行権のことをいう。

  解答&解説

正解 2

解説

1.妥当でない。

本肢のような囲繞地通行権を行使する(民法第210条1項)のは公示制度とは無関係であるから、甲地の所有者は所有権取得の登記なくして囲繞地通行権を主張することができる(最判昭47年4月14日)。
囲繞地通行権は、取り囲まれている土地に権利を有する者に対して法が与えたものである。

2.妥当である。

元々一つの土地が甲地と乙地に分筆され、分筆によって、他の土地に囲まれて公道に通じていない甲土地が生じた場合には、甲土地の所有者は、無償で乙土地のみに囲繞地通行権を有することになる。
そして、乙土地に特定承継があっても、甲土地の所有者は、依然として無償の囲繞地通行権を行使することができる(最判平成2年11月20日)。
したがって、本肢におけるAは当然にCに対して無償の囲繞地通行権を主張することができる。
なお、この場合、他の土地に対する囲繞地通行権は行使することができない。

3.妥当でない。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない(民法612条1項)。
本問においては、乙土地を通行することが賃貸借契約の内容であるから、その賃借人(A)たる地位が、甲土地をCに売却すれば、Cに移転すると考えられるが、賃貸人(B)の承諾が伺えない本肢においては、当然にCが乙土地を通行するとはいえない。
また、考え方としては、乙地を通行することができる権利はAに残るとも考えられるが、Aにとっては意味のない賃借権ということになる。
いずれにしても、当然にCが乙土地を通行するとはいえない。

4.妥当でない。

地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる(民法第283条)。
本条の「継続」というのは、通路を開設していることを要求するものであり、また、この通路の開設は要役地の所有者によってなされることが必要である(最判昭和30年12月26日)。
したがって、本肢のAは、通行地役権を時効取得することはできない。
なお、要役地の所有者が、道路を拡幅するため、他人にも土地を提供するよう働きかける一方、自らも、各自その所有地の一部を同用地として提供するなどの負担をしたときは、要役地の所有者によって通路が開設されたといえる(最判平成6年12月16日)。

5.妥当でない。

「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である」(最判平成10年2月13日)。
なお、本判例は「このように解するのは、右の譲受人がいわゆる背信的悪意者であることを理由とするものではないから、右の譲受人が承役地を譲り受けた時に地役権の設定されていることを知っていたことを要するものではない」とも述べている。
したがって、本肢においてCが「背信的悪意者」としている点は妥当ではない。

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