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令和4年-問3 憲法 精神的自由

Lv4

問題 更新:2023-01-17 09:54:41

表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。

公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

(最一小判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁)

  1. XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。
  2. Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。
  3. 作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。
  4. 新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。
  5. A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。
  解答&解説

正解 5

解説

本問で問われている判断基準の対象は、「公務員の地位における行動である場合」としていることから、各肢で同内容の対象を探すこととなる。

XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。 1.妥当でない

本肢の事案はB市の施策を批判する演説についてである。

「駅係員の許諾を受けないで駅構内において乗降客らに対しビラ多数を配布して演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約20分間にわたり駅構内に滞留した被告人らの所為につき、鉄道営業法35条及び刑法130条後段の各規定を適用してこれを処罰しても憲法21条1項に違反しない(吉祥寺駅構内ビラ配布事件:最判昭和59年12月18日)。」

Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。 2.妥当でない

本肢の事案は、雑誌『月刊ペン』において、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして名誉毀損罪(刑法230条の2)にあたるとし、雑誌編集長が刑事告訴されたものである。

「私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の2第1項にいう「公共の利害に関する事実」にあたる場合がある。
二 多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として摘示した「右宗教団体の会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあった女性2名が同会長によって国会に送り込まれていること」などの事実は、同会長が、右宗教団体において、その教義を身をもって実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であって、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあったなど判示の事実関係のもとにおいては、刑法230条の2第1項にいう「公共の利害に関する事実」にあたる(月刊ペン事件:最判昭和56年4月16日)。」

作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。 3.妥当でない

本件は、上告人が執筆したモデル小説(「石に泳ぐ魚」)の発行等によって名誉を毀損され、プライバシー及び名誉感情を侵害されたとする被上告人が、上告人らに対して慰謝料の支払を求めるとともに、上告人及び同小説の出版についての権限を有する上告人に対し、同小説の出版等の差止めを求めた事案である。

「甲をモデルとし、経歴、身体的特徴、家族関係等によって甲と同定可能な乙が全編にわたって登場する小説において、乙が顔面にしゅようを有すること、これについて通常人が嫌う生物や原形を残さない水死体の顔などに例えて表現されていること、乙の父親が逮捕された経歴を有していることなどの記述がされていることなど判示の事実関係の下では、公共の利益にかかわらない甲のプライバシーにわたる事項を表現内容に含む同小説の出版により公的立場にない甲の名誉、プライバシー及び名誉感情が侵害され、甲に重大で回復困難な損害を被らせるおそれがあるとして、同小説の出版の差止めを認めた原審の判断には、違法がない(石に泳ぐ魚事件:最判平成14年9月24日)。」

新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。 4.妥当でない

新聞記者が、沖縄返還協定について、日米間に密約があったことを国会議員にリークした。しかしその情報は、外務省の女性事務官と情を通じ、それを背景にして機密文書を持ち出させて入手したのであった。記者は、国家公務員法111条における秘密漏示そそのかし罪で起訴された。これに対し「報道の自由」による正当な取材であるとして無罪を主張した。

「取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない(外務省機密漏洩事件:最判昭和53年5月31日)。」

A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。 5.妥当である

本肢の事案が、問題文の判断基準が想定している事例である。

市民Yがビラをまいた経緯は次のとおりである。

長崎市内の公立小学校において成績の評価方法をめぐる論争が展開し、教師らが児童に通知表を交付しなかったことが、教育関係者のみならず一般市民の間でも大きな関心事になっていた。

かねてより教育問題等について言論活動をしていた市民Yは自己の収集した資料に基づき、教師らが通知表を交付しなかった事実を確認し、これが組合の指示の下に組合に所属する教師が学校当局に対して行う抗争であるとの認識に立ち教師らを厳しく批判するビラをまいた。

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