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令和3年-問28 民法 総則

Lv3

問題 更新:2023-01-27 21:00:22

Aが従来の住所または居所を去って行方不明となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為および、その財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。
  2. Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
  3. Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。
  4. Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
  5. Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。
  解答&解説

正解 4

解説

Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為および、その財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。 1.正しい

管理人は、103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる(民法28条前段)。
権限の定めのない代理人は、代理人の管理の対象になっている物又は権利について、修繕などの「保存行為」、性質を変えない範囲内で「利用行為」、「改良行為」を認められている(民法103条)。

Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。 2.正しい

従来の住所又は居所を去った者(不在者)が、その財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする(民法25条1項)。

Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。 3.正しい

不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる(民法26条)。

Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。 4.誤り

普通失踪の死亡擬制は、7年間が満了した時(民法31条)なので、「失踪の宣告を受けた時に死亡した」というのは誤りである。

不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(民法30条1項)。
失踪の宣告を受けた者は7年の期間が満了した時に、死亡したものとみなす(民法31条)。

なお、特別失踪宣告(戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者、その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないとき)の死亡擬制の時期は、「その危難が去った時」である(民法31条)。併せて押さえておきたい。

Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。 5.正しい

失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされるが(民法31条)、当該本人が生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅されるものではない。
換言すれば、Aが死亡したものとみなされた後、実際には別の場所にて生存していた場合、その時Aが行った契約等は有効であるということになる。

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