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令和3年-問20 行政法 国家賠償法

Lv2

問題 更新:2022-01-08 05:04:49

次の文章は、消防署の職員が出火の残り火の点検を怠ったことに起因して再出火した場合において、それにより損害を被ったと主張する者から提起された国家賠償請求訴訟にかかる最高裁判所の判決の一節である。空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条[ ア ]を規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」に[ イ ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を[ ウ ]合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が[ エ ]され、当該公務員に重大な過失のあることを[ オ ]ものといわなければならない。

(最二小判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁)

1. の特則含まれる排除すべき適用必要とする
2. が適用されないこと含まれない認めるべき排除必要としない
3. が適用されないこと含まれない排除すべき適用必要としない
4. が適用されないこと含まれる認めるべき排除必要とする
5. の特則含まれない排除すべき適用必要としない
  解答&解説

正解 1

解説

ア「の特則」、イ「含まれる」、ウ「排除すべき」、エ「適用」、オ「必要とする」

判例は、「国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法4条は、同法1条1項の規定が適用される場合においても、民法の規定が補充的に適用されることを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条[ア:の特則]を規定したものであるから、国家賠償法4条の『民法』に[イ:含まれる]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を[ウ:排除すべき]合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が[エ:適用]され、当該公務員に重大な過失のあることを[オ:必要とする]ものといわなければならない」(最判昭和53年7月17日)としている。

国家賠償法1条によると、本来は「国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたとき」に賠償の責任があるとしているが、国家賠償法4条において、「国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による」と民法を補充的に適用している。そして、失火の責任に関する法律は「民法709条の規定は、失火の場合には之を適用せずただし失火者に重大なる過失ありたるときは此の限りに在らず」と規定していることから民法ではなく失火責任法による特則が適用され、「重大な過失」がなければ賠償責任を負わない、ということになる。

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