令和3年-問7 憲法 参政権
Lv4
問題 更新:2023-11-20 17:00:40
次の文章の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
国民投票制には種々の方法があるが、普通にこれを[ ア ]、[ イ ]及び[ ウ ]の三種に大別する。[ ア ]という言葉は、通俗には広く国民投票一般を意味するもののようにも用いられているが、その語の本来の意義は、代表者たる議会が一度議決した事柄を、主権者たる国民が確認又は否認して終局的に決定するということであって、国民表決という訳語も必ずしも正確ではない。・・・(中略)・・・。[ ア ]が議会の為したことの過誤を是正する手段であるのに対して、[ イ ]は議会が為さないことの怠慢を補完する方法である。即ち議会が国民の要望を採り上げないで、必要な立法を怠っている場合に、国民自ら法律案を提出し国民の投票によってその可否を決する制度である。・・・(中略)・・・。[ ウ ]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度は、元来選挙と表裏を成して人の問題を決定するもので、[ エ ]を前提とするものであるから、厳密な意味における[ オ ]ではないけれども、その思想及び制度の歴史に於いて他の国民投票制と形影相伴って発達して来たのみならず、その実行の方法に於いても、概ね共通しているから、通常やはり国民投票制の一種として取り扱われている。
(出典 河村又介「新憲法と民主主義」1948年から<原文の表記の一部を改めた。>」
ア | イ | ウ | エ | オ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1. | レファレンダム | 国民発案 | 国民拒否 | 命令委任 | プレビシット | |
2. | イニシアティブ | 国民拒否 | 不信任投票 | 直接民主制 | 代議制 | |
3. | レファレンダム | 国民発案 | 国民拒否 | 代議制 | 直接民主制 | |
4. | イニシアティブ | 国民拒否 | 解職投票 | プレビシット | 命令委任 | |
5. | レファレンダム | 国民発案 | 解職投票 | 代議制 | 直接民主制 |
正解 5
解説
ア:レファレンダム、イ:国民発案、ウ:解職投票、エ:代議制、オ:直接民主制
空欄に補充した文章は以下のとおり。
国民投票制には種々の方法があるが、普通にこれを[ア:レファレンダム]、[イ:国民発案]及び[ウ:解職投票]の三種に大別する。[ア:レファレンダム]という言葉は、通俗には広く国民投票一般を意味するもののようにも用いられているが、その語の本来の意義は、代表者たる議会が一度議決した事柄を、主権者たる国民が確認又は否認して終局的に決定するということであって、国民表決という訳語も必ずしも正確ではない。・・・(中略)・・・。[ア:レファレンダム]が議会の為したことの過誤を是正する手段であるのに対して、[イ:国民発案]は議会が為さないことの怠慢を補完する方法である。即ち議会が国民の要望を採り上げないで、必要な立法を怠っている場合に、国民自ら法律案を提出し国民の投票によってその可否を決する制度である。・・・(中略)・・・。[ウ:解職投票]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度は、元来選挙と表裏を成して人の問題を決定するもので、[エ:代議制]を前提とするものであるから、厳密な意味における[オ:直接民主制]ではないけれども、その思想及び制度の歴史に於いて他の国民投票制と形影相伴って発達して来たのみならず、その実行の方法に於いても、概ね共通しているから、通常やはり国民投票制の一種として取り扱われている。
(出典 河村又介「新憲法と民主主義」1948年から<原文の表記の一部を改めた。>)
ア.レファレンダム、イ.国民発案、ウ.解職投票
直接民主制的な制度として、リコール(解職)、レファレンダム(国民投票・住民投票)、イニシアティブ(国民発案・住民発案)の3つの制度がある。これは「一般知識」の対策として勉強することであろう。
「[ イ ]は議会が為さないことの怠慢を補完する方法」とあるので、「国民発案」が入る。
「[ ウ ]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度」とあるので、「解職投票」が入る。
となると、アには「レファレンダム」が入る。
エ.代議制
「[ ウ ]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度」は、代議制を前提とするので、エは「代議制」が入る。
オ.直接民主制
解職投票は代議制を前提とするものであるため、厳密な意味における直接民主制ではない。
したがって、文脈からオには「直接民主制」が入る。
なお、プレビシットとは国民投票のことであるが、通常の国民投票(レファレンダム)と区別して、為政者による統治の正統性や領土の帰属などを問う場合に行われるものをいう。