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  4. 問32

平成29年-問32 債権Ⅱ

レベル3

問題 更新:2017-11-29 16:50:03

共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが要素の錯誤に陥っており、錯誤に基づく無効を主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。
  2. 本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる。
  3. 本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。
  4. 本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAが、あらかじめその旨をBに通知することなくCに弁済した。その当時、BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償されたとしても相殺をもって対抗することができる。
  5. 本件貸金債務につき、AがCに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bは、これを知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済した。この場合に、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる。
  解答&解説

正解 3

解説

連帯債務の相対効(相対的効力)・絶対効(絶対的効力)を問うている。
相対効とは、連帯債務者の一人に生じた事由が、他の連帯債務者に影響を及ぼさないことを意味する。
絶対効とは、連帯債務者の一人に生じた事由が、他の連帯債務者に影響を及ぼすことを意味する。
連帯債務者は、債権者に対してはそれぞれが全額の債務を負うという点に関して、各連帯債務者は対等な関係であり、それぞれの債務は別のものととらえることができる。したがって連帯債務関係においては「相対効」が原則(民法第440条)であるものの、一部「絶対効」も認められるのである。

1.妥当である。

条文によると「連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない」とされている(民法第433条)。他の連帯債務者がいようがいまいが、各連帯債務者はもともと全額の債務を負っているため、ある連帯債務者が存在しないことになっても、他の連帯債務者には影響はないのである(相対効)。したがって本肢は妥当である。

2.妥当である。

条文によると「連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する」とされている(民法第435条)。更改については、絶対効なのである。
したがって本肢は妥当である。

3.妥当でない。

条文には「連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる」とされている(民法第434条)。履行の請求は、絶対効なのである。
ゆえに、もしCがAに請求していたら、それは時効の中断事由にあたり、Bとの関係でも時効は中断となる(民法第147条参照)。
しかしながら、本肢においては、Aが時効の中断事由である債務の承認行為をしているが、これは他の連帯債務者との関係で、絶対効ではない。ゆえにBはCに消滅時効を援用できるのである。
したがって本肢は妥当でない。

4.妥当である。

条文によると「連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる」とされている(民法第443条1項)。
したがって本肢は妥当である。

5.妥当である。

条文によると「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる」とされている(民法第443条2項)。
したがって本肢は妥当である。

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