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  3. 平成29年
  4. 問28

平成29年-問28 総則

レベル2

問題 更新:2017-11-29 16:48:02

錯誤等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 要素の錯誤が成立する場合において、表意者に錯誤に基づく無効を主張する意思がないときであっても、表意者自身が錯誤を認めており、表意者に対する債権を保全する必要がある場合、表意者の債権者は、表意者の錯誤を理由とする無効を主張することができる。
  2. 売買代金に関する立替金返還債務のための保証において、実際には売買契約が偽装されたものであったにもかかわらず、保証人がこれを知らずに保証契約を締結した場合、売買契約の成否は、原則として、立替金返還債務を主たる債務とする保証契約の重要な内容であるから、保証人の錯誤は要素の錯誤に当たる。
  3. 婚姻あるいは養子縁組などの身分行為は錯誤に基づく無効の対象とならず、人違いによって当事者間に婚姻または縁組をする意思がないときであっても、やむを得ない事由がない限り、その婚姻あるいは養子縁組は無効とならない。
  4. 連帯保証人が、他にも連帯保証人が存在すると誤信して保証契約を締結した場合、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約の動機にすぎないから、その存在を特に保証契約の内容とした旨の主張立証がなければ、連帯保証人の錯誤は要素の錯誤に当たらない。
  5. 離婚に伴う財産分与に際して夫が自己所有の不動産を妻に譲渡した場合において、実際には分与者である夫に課税されるにもかかわらず、夫婦ともに課税負担は専ら妻が負うものと認識しており、夫において、課税負担の有無を重視するとともに、自己に課税されないことを前提とする旨を黙示的に表示していたと認められるときは、要素の錯誤が認められる。
  解答&解説

正解 3

解説

1.妥当である。

錯誤無効を主張することができるのは、表意者に限られるのが原則である(民法第95条参照)。錯誤無効の規定は表意者を保護するための制度であるため、主張権者を表意者に限っているのである。
では、表意者以外の第三者は、表意者に代わって錯誤無効の主張は一切できないのであろうか。
錯誤における代位について判例は、第三者において表意者に対する債権を保全するため必要がある場合において、表意者がその意思表示の瑕疵を認めているときは、表意者みずからは当該意思表示の無効を主張する意思がなくても、第三者たる債権者は表意者の意思表示の錯誤による無効を主張できるとしている(最判昭和45年3月26日参照)。
したがって本肢は妥当である。

2.妥当である。

保証人が、締結した保証契約に関して錯誤無効を主張するためには、「保証契約の意思表示に関して」錯誤がなければいけない。
では、保証契約を締結することになった前提たる売買契約が偽装されたものであり、それを保証人が知らずに保証契約を締結した場合は、保証人は当該保証契約の意思表示に要素の錯誤あると主張できるのであろうか。
判例によると「特定の商品の代金について立替払契約が締結され、同契約に基づく債務について保証契約が締結された場合において、立替払契約は商品の売買契約が存在しないいわゆる空クレジット契約であって、保証人は、保証契約を締結した際、そのことを知らなかったなど判示の事実関係の下においては、保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある」とされている(最判平成14年7月11日)。
したがって本肢は妥当である。

3.妥当でない。

婚姻に関しては、人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないときは無効となる(民法第742条1号参照)。養子縁組に関しては、縁組は、人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは無効となる(民法第802条1号参照)。
したがって本肢は妥当でない。
なお、条文の知識がなかったとしても、本肢は妥当でないと判断できるであろう。「親族の分野については表意者の意思を徹底して尊重しなければいけない」という民法の基本原則を知っていれば、本問は正解にたどり着くことが可能なのである。

4.妥当である。

判例によると「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であって、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない」とされている(最判昭和32年12月19日)。本肢の場合は縁由の錯誤であり、当然には要素の錯誤にはならないのである。
したがって本肢は妥当である。

5.妥当である。

そもそもであるが、動機に錯誤があった場面で、錯誤無効の主張が認められるか否かが問題となる。
判例によると「意思表示の動機の錯誤が法律行為の要素の錯誤としてその無効をきたすためには、その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり、もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要するところ、右動機が黙示的に表示されているときであっても、これが法律行為の内容となることを妨げるものではない」とされており、表示(黙示でも可)があれば錯誤無効の主張が可能であると分かる(最判平成元年9月14日)。
同判例は、「協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合」についてのものである。同判例によれば「当該契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなど判示の事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の右課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしたものというべきである」とされ、要素の錯誤が認められている。
したがって本肢は妥当である。

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