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平成28年-問33 債権Ⅰ

レベル2

問題 更新:2018-04-05 11:48:37

債務不履行責任に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 不確定期限がある債務については、その期限が到来した時ではなく、債務者が履行期の到来を知った時から履行遅滞になる。
  2. 債務者が自己の債務を履行しない場合、その債務不履行につき帰責事由がないことを債務者の側において立証することができなければ、債務者は債務不履行責任を免れることができない。
  3. 賃借人が賃貸人の承諾を得て賃貸不動産を転貸したが、転借人の過失により同不動産を損傷させた場合、賃借人は転借人の選任および監督について過失がなければ、賃貸人に対して債務不履行責任を負わない。
  4. 受寄者が寄託者の承諾を得て寄託物を第三者に保管させたが、当該第三者の過失により寄託物を損傷させた場合、受寄者は当該第三者の選任および監督について過失がなければ、寄託者に対して債務不履行責任を負わない。
  5. 特別の事情によって生じた損害につき、債務者が契約締結時においてその事情を予見できなかったとしても、債務不履行時までに予見可能であったと認められるときは、債務者はこれを賠償しなければならない。
  解答&解説

正解 3

解説

債務不履行責任についての問題である。
以下で解説する通り、選択肢3について多少歯切れが悪いものの、それ以外の選択肢が明確に「正しい」のであるから、正解は3であろう。行政書士試験研究センター発表の正解も3である。
なお、本問は選択肢のうち3と4が細かい知識であるため、勉強としては3と4以外をまずは確実におさえて欲しい。

1.正しい。

履行遅滞の債務不履行責任が問題になるのは、債務が履行期に履行可能であるにもかかわらず、履行期を徒過してしまった場合である。
履行期を徒過してしまった場合とは、履行期が到来するときが原則的な場面であるが、そうではない場面もある。条文および判例によって、履行遅滞に陥るタイミングが整理されているのである。
条文によると、債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負うとされている(民法第412条第2項)。
したがって、条文のままである本肢は正しい。

2.正しい。

立証責任の問題であるが、立証責任の意味については、平成28年問題32肢5の解説を参照して欲しい。
どちらの当事者が立証責任を負うか、つまり立証責任の分配については、一般的な規定はないものの、簡単に述べてしまうと自己にとって有利な事実は自己に立証責任があるとされているのが基本的なありかたである。
しかしながら、場面によって立証責任の分配の仕方が修正されることもある。有名なのは、債務不履行責任を問われた場面だが、帰責事由の立証責任は債務者に分配されている。これは、債権者から損害賠償請求を受けた場合に、債務者の方で「自分には帰責事由がないこと」を立証しなければ債務者に不利な判決が出るという意味である。債務者はもともと契約によって債務を負っていたのであるから、その履行をしない場合の帰責事由の立証責任を、債務者に負わせるのが公平だからである。
したがって、本肢は正しい。
余談であるが、不法行為の損害賠償請求の場面における帰責事由(過失)の立証責任は、債権者(被害者)にあることも覚えておくとよいであろう。
立証責任の分配は多分に実務的な内容であるため、上記解説を理解できなかった方は、ここは丸暗記で「債務不履行の帰責事由は債務者、不法行為の帰責事由(過失)は債権者(被害者)に立証責任がある」と覚えてくれたらよい。深追いしてはいけない分野である。

3.誤り。

判例によると、承諾のある転貸の場合であったとしても、転借人がその過失によって転借物を損傷させた場合は、賃借人も損害賠償責任を負うとされている(大判昭和4年6月19日)。
この判決から判断すると、本肢は誤り。
しかしながら、平成元年の裁判例によると、承諾転貸の場面で、転借人に過失がある場合は、賃借人は転借人の選任・監督について過失のあるときにのみ、賃借人は債務不履行に基づく損害賠償責任を負うとしている(東京地判平成元年3月2日)。
地裁の裁判例と大審院判例であれば、大審院判例の知識を問うものと考えられるが、歯切れが悪いといえる。

4.正しい。

条文によると、受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができないとされている(民法第658条第1項)。受寄者が承諾を得て第三者に寄託物を保管させた場合は、受寄者はその選任及び監督について、寄託者に対してその責任を負うとされている(民法第658条第2項、民法第105条第1項)。
したがって、本肢は正しい。

5.正しい。

損害賠償の範囲についての問題である。
条文によると、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができるとされている(民法第416条第2項)。
そして「予見することができたとき」にあたるかどうかがどのタイミングで判断されるのかまでは条文では定められておらず、解釈に委ねられる。この点につき、判例は「債務不履行時」としている(大判大正7年8月27日)

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