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平成26年-問38改題 商法 会社法

Lv4

問題 更新:2023-01-30 21:53:32

取締役会設置会社であり、種類株式発行会社でない株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が行う株式の併合・分割等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、定款に別段の定めはないものとする。

  1. 株式を併合するには、その都度、併合の割合および株式の併合がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  2. 株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発効済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  3. 株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  4. 株式の分割によって定款所定の発行可能株式総数を超過することになる場合は、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。
  5. 株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならない。
  解答&解説

正解 1

解説

株式を併合するには、その都度、併合の割合および株式の併合がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。 1.正しい。

株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法180条2項)。
①併合の割合
②株式の併合がその効力を生ずる日(効力発生日)
③株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
④効力発生日における発行可能株式総数

本肢は、上記①と②について、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議が必要であるとしている。

なお、株式併合を行う際は、株主総会の特別決議が必要である(会社法309条2項参照)。なぜなら、併合によって議決権を失う株主がいるためである。

株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発効済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。 2.誤り。

株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法183条2項)。
①株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
②株式の分割がその効力を生ずる日
③株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

本肢は、上記①及び②について、株主総会の決議で定めるとしている。しかし、取締役会設置会社であれば、取締役会の決議によって定めるのである。

したがって、株主総会決議が必要であるとする本肢は誤り。

なお、株式分割は取締役会設置会社であれば「取締役会決議」(取締役会設置会社でなければ、株主総会の普通決議)でよい。
つまり株式併合と異なり、株主総会の特別決議は不要なのである。併合と違って、株式分割をしても株主の議決権比率は減らず、株式分割は既存株主に不利益を与えないからである。

株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。 3.誤り。

株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法186条1項)。
①株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
②当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
③株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類

また、会社法186条1項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(会社法186条3項)。

本肢は、上記①及び②について、株主総会の決議で定めるとしている。しかし、取締役会設置会社であれば、取締役会の決議によって定めるのである。

したがって、株主総会の決議を要するとしている本肢は誤り。

なお、無償割当をしても不利益を受ける株主はいないから、無償割当は株主総会の特別決議など不要で、株主総会の普通決議か取締役会決議で足りるのである。株式分割と似た効果があるので、相違点を比較しておさえておいて欲しい。

株式の分割によって定款所定の発行可能株式総数を超過することになる場合は、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。 4.誤り。

発行済株式総数は、発行可能株式総数を超えることはできないが、株式分割によって発行可能株式総数を超えそうな場合は、あらかじめ株主総会決議で定款変更をして、発行可能株式総数を増加させた後でないと、株式分割はできないのであろうか。

条文は「株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、466条の規定(定款変更には、株主総会決議が必要であるとする規定)にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条2項2号の日(株式分割の効力発生日)における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項1号の割合(株式分割により増加する株式の総数の株式分割前の発行済株式総数に対する割合)を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる(会社法184条2項)」としている。

たとえば発行可能株式総数が100株、発行済株式総数が50株であるとして、この会社(取締役会設置会社)が、1株を3株に分割するとする。このままであれば発行済株式総数が150株になり、発行可能株式総数を超えてしまう。本来は発行可能株式総数の変更には株主総会特別決議が必要であるが、本件であれば「×3」の範囲内であることを条件として、取締役会決議で発行可能株式総数を増加させ、発行可能株式総数を300株とすることが認められている。分割前後をみたときに、発行可能株式総数と発行済株式総数の関係が変わらないからである。

したがって、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、株式の分割をすることはできないとする本肢は誤り。

なお、株式無償割当てにはこのような定款変更の特則がない。この点は株式分割とは異なる部分である。

株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならない。 5.誤り。

株券発行会社は、株式の併合をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し、株券を提出しなければならない旨を株券提出日の1ヵ月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない(会社法219条1項2号)。
併合によって株式数が減るのであるから、株券を一度回収する必要があるのである。

そして、株券発行会社は、株式の併合をしたときは、株式併合の効力発生日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない(会社法215条2項)。

一方で、株式分割については、株式併合と異なり、株式数が減ることはない。逆に分割によって株式数は増えるのだから、株券の回収は不要で、会社法219条1項に相当する条文はない(ちなみに、分割によって新たに増えた分は株券を発行しなければならない。会社法215条3項参照)。

したがって、株式分割で株券回収のための公告を要するとしている本肢は誤り。

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