民法テキスト7《占有訴権の種類》
占有保持の訴え | 占有保全の訴え | 占有回収の訴え | |
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条文 | 第198条 | 第199条 | 第200条 |
要件 | 占有者の占有が妨害されている場合(占有の部分的侵害、主として不動産) | 占有の妨害のおそれがある場合(主として不動産) | 占有を侵奪された場合(占有の全部侵害、主として動産) ※詐取されたときは占有の侵奪にあたらない。 ※善意の特定承継人に対しては提起できない。 |
請求権の内容 | 妨害の停止と損害賠償 | 妨害の予防又は損害賠償の担保 | 物の返還と損害賠償 |
相手方の故意・過失 | 損害賠償の請求のみ必要(法的性質は不法行為に基づく請求) | 不要 | 損害賠償の請求のみ必要(法的性質は不法行為に基づく請求) |
行使の期間 | 妨害が存在している間は、その停止と損害賠償請求ができ、妨害が消滅した後は1年以内に損害賠償請求のみができる(201条1項本文) | 妨害の危険が存在する間。ただし、工事によって損害の生ずるおそれのあるときは、占有保持の訴えと同様の期間の制限がある(201条2項) | 侵奪のときより1年(201条3項) |
工事の場合の訴えの期間制限 | 工事着手のときより1年又はその工事が完成するまで(201条1項ただし書き) | 工事着手のときより1年又はその工事が完成するまで(201条2項ただし書き、1項ただし書き準用) | なし |