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  2. 安全配慮義務判例と特殊不法行為

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こんにちは。
あんまり気にしていなかった判例なので、最高裁のホームページで読んできました。コレ、けっこう無理矢理に請求を認めた感じなので、あまりアタマを使わない方がいい気がしますよ。たまに「法律をそのまま読んだら、原告が負けになるけど、それはちょっとかわいそうな気がする。なにか理屈をつけて助けてあげないと」って、妙な理屈で判決が出る時があるんですが、これがそうじゃないかな。「法律が現実に追いついてない」時なんかに、屁理屈でも妥当な結論に導こうとする、というか。
今回も、本来は「不法行為」ですよね、ふつうに考えたら。でも、それじゃあ遺族がかわいそうだから、「安全配慮しなかったのは、不法行為ではなく債務不履行である」って、なんだかすごい理屈で時効を伸ばしてあげた、っていうふうに感じました。

だからといって、不法行為や損害賠償には当たらない、と最高裁が言いきってるワケじゃありません。しいていえば、スルーしてます。なぜなら、「時効を伸ばしてやろう」という判決の理由をひねり出してる時に、3年や5年の時効に該当するかどうかを考えてもしょうがないからです(それじゃ、伸ばす方向にならないから)。
「最高裁がなぜ715条を使わず」というよりも、715条では判決にマッチしなかったから使えなかった、と言うことだと思いますよ。もっといえば、715条や724条で救済できるならそちらを根拠にしたでしょうし、それだと判例として有名にならなかったでしょうね(よくあることだから)。

あ、公務員だと使用者責任ウンヌンにまた別な論点があるかと思いますが、長くなるのでそっちは省略。ともあれ、この判例は「無理にでも時効を伸ばすには167条を根拠にするしかなかったんだろうな」で終わらせる方がよいかと思います。
KEN!さんが既に詳細に書かれているので簡単に。
>最高裁がなぜ715条を使わず、通常の債務不履行の損害賠償請求権で判断したのかが分かりません。
既に消滅時効が成立していて、被害者を救えなかったからです。時系列的では、
①事故の発生:昭和40年7月15日。
②原審裁判日:昭和48年1月31日。
なので既に7年が経過していた為、民法724条と715条では救えなかった。
言わゆる現代の「大岡裁き」ですね。
こんにちは。

この論点は、行政書士試験では聞かれませんが、訴訟法では重要と思いますので書きます。

大学などで民事訴訟法を勉強した方なら聞いたことがあると思いますが、この論点は、「処分権主義」に当たると思います。

これは、訴えをするときに、①何を(内容) ②どの様な法律構成で(質) ③どれ位(量)とするかは、訴訟当事者の権能であり、責務とすると言ったもので、民事訴訟法246条が根拠となります。

例えば、①損害賠償を②不法行為を根拠に③500万円 求める訴訟をしたとします。これにより、裁判所は当事者の訴えた①から③の範囲でのみ審理することになり、そこからはみ出ることは出来なくなります。③で言えば、審理の結果1000万円の賠償金があるとの心証を裁判官が抱いても、当事者が500万円の範囲で賠償を求めているため、それを超えて裁判することが出来ません。

質問の判例は、原告が国の安全配慮義務を債務と構成し、その義務違反があったとして、債務不履行による損害賠償を求めたんだと思います。(Beginnerさんが書いてるとおり、時効によって、不法行為を主張するのは難しい事例だったと思います。)
原告が、不法行為を主張していない以上、裁判所は不法行為については、審理、判決をすることが出来ません。

民事訴訟法を元に書きましたが、行政事件訴訟法に定めのない事項は、民事訴訟法の例による(行政事件訴訟法7条)とありますので、質問の判例にも当てはまることになります。
こんにちわ、はるまきです。

辰巳法律研究所の「条文・判例スタンダード 民法」によると、

安全配慮義務とは、契約当事者の合意内容となっていないが、
信義則上相手方の生命、身体、財産等の安全を図るべき義務をいう。
この場合、不法行為(709条など)による責任追及も可能だが、
時効によりこれができない場合がある。
そこで、より長期の時効にかかる
契約上の責任追及方法として安全配慮義務が観念された。

・・・みなさんがおっしゃっているように
大岡裁き的な感じですが、
不法行為による損害賠償と安全配慮義務違反による損害賠償は異なっていて、
どっちが有利が時効によって考えるということです。

この判例ケースでは事故から4年経ったときに
不法行為による賠償責任請求で負けているという
もともとの事情もあるそうです。
だから安全配慮義務の債務不履行に基づく損害賠償請求に
切り替えて再チャレンジしたということでしょう。

安全配慮義務違反では、立証責任は原告が負い、
死亡した被用者の遺族には固有の慰謝料請求権がないなど
被害者にとって不法行為を主張するよりも
必ずしも有利とは言えない場合もあるそうです。

また、別のケースで
勤務場所に第三者が侵入して労働者に危害を加えた場合、
使用者は安全配慮義務違反による損害賠償を負いうるそうです。

勉強になりました。ありがとうございます。
この掲示板を参考になさっている受験生のかたへ

こんばんは。23です。

このスレの質問に対する投稿をして、ちょっと後悔と言いますか、誤解を与えたかもしれないと思いまして、再度投稿します。

私は、質問に対して、民事訴訟法の概念を持ち出し、説明しました。質問に対する回答をするのに必要と判断して書いたのですが、もしかしたら、「民事訴訟法の知識まで必要なの?」と、いらぬ疑念を抱かせてしまったのではないか、と危惧しております。

私の行政書士試験の経験上、過去問や各種問題で民事訴訟法の知識が必要なものはなかったと認識しております。

今回は、あくまで質問に対する回答の必要上出しただけですので、受験生の皆さまには、余計なことは気にせずに勉強していただきたく思っています。
みなさまへ。

詳しいご説明ありがとうございます。バタバタしており返信が遅れてすみません。そしてまとめてのお返事で申し訳ありません。

裁判所の判断、訴訟手続きについて、とてもよくわかりました。私も実は行政書士試験では問われないかなとは思いつつ、疑問が拭えなかったので質問させていただきました。

夏になり仕事も家庭も忙しくなり、バタバタしておりますが、もはやそんなことはいってられない時期ですよね。諸先輩方、同輩の方の熱いお気持ちをいただき気を引き締め直して頑張りたいと思います。道場同期の皆様、全員合格に向けて頑張りましょう。
こんにちは。

mimifine0111さん、皆さんから追記があり、すっきり回答をいただけたようでよかったです。今年は暑いですが、気合い入れてがんばってください。

私信ですが、23さんご無沙汰しております。
処分権主義も含め、だいたい「判例」として残っているのは普通じゃ無理だったから屁理屈をこねたモノ、っていうパターンが多くて、今回も「原告の弁護士と裁判所の連係プレー」でがんばった感じが伝わってきます(もちろん、ウラでなにか…とかじゃなくて、望ましい判決のために、ってことですが)。誰か1人が長々と書くより、複数人でさまざまな視点から回答した方が、質問者&道場生のためになると思いますし、僕自身、勉強になりました。ありがとうございます。
ちなみに、今年のオフ会は12/8、会場は去年と同じです。飲む場所は検討中ですが、お時間が取れたらぜひお会いしましょう(これが言いたかったw)。
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