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  2. 民法545条1項について

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debussyさま

こんばんは。23と申します。

この論点は試験的には結論だけ覚えておけばOKなのですが、法律上は第三者が登記を有しないと保護されない理由というか理論構成は異なります。(以下、長くなりますので、時間のある人だけ読んでください。)

AーBの売買及び登記後(Bを買主とします。)その法律関係に第三者Cが利害関係を有する事例で書きます。

まず、A-B間の売買契約解除後にCが関係した場合ですが、解除に伴ってB→Aへの所有権復帰とB→Cへの所有権移転をBを起点とした二重譲渡と同様にとらえ、対抗問題として処理し、先に登記を有するに至った者が所有権取得を対抗できるということに判例上なっています。これは、「解除」を「取消」とした事例でも同様ですので、理解しやすいと思います。

次に上記の例でCがA-B間の売買契約解除前に利害関係を有した場合を書きます。

545条1項但書では、解除によって第三者の権利を害することができないと規定されています。この文言からすると、解除前の第三者は登記がなくても保護されるのでは?と考えることができます。判例は、このような事例でも第三者に「登記」を要求しました。但し、解除後の第三者と異なり、「対抗要件」として登記が必要としたわけでなく、「保護要件」として必要であると本に書いてあるのを読んだことがあります。

第三者が保護されるために登記を要求しても、不動産取引で登記を行うのは通常のことなので特に酷なことを要求するわけでもないし、また、第三者が利害関係を有するに至った時期が解除の先後という偶然の事情で、登記を必要とするか否かの結論を変えるべきではないとのことが理由の様です。

考えてみれば、解除前に利害関係を有する第三者が保護されるために登記が不要とすると、本当は解除後に利害関係を有するに至ったのに、契約書の日付を改ざんするなどして、「自分は解除前に利害関係を有していた!」という人が出てこないとも限らないので、結論的にも妥当だと思います。

最後にまとめとしまして、
➀、解除後の第三者が登記を必要とする理由→「対抗要件」として必要

②、解除前の第三者が登記を必要とする理由→「保護要件」として必要
取消・解除には、当該契約等がなかった状態に戻すということで遡及効があります。
よって、この遡及効の影響を受ける第三者をどう扱うかというのが取消前・解除前の第三者の問題であり、それは、個別の法律の規定で解決する。
そして、遡及効の影響を受けない取消後・解除後の第三者をどう扱うかは上記の問題とは別問題で、二重譲渡の問題、すなわち第三者対抗要件で解決する。

民法545条1項の保護を受けるためには登記が必要という判例です。
しかし、試験とは無関係ですが、解除前の第三者が解除後に登記を得た場合はどうなるのかなと疑問に思っています。
ご回答頂きありがとうございます。 解除後の場合、登記を元に戻さなかった最初の売主に過失があるので対抗要件具備が必要というのは理解できたのですが、解除前にしても、第三者が速やかに登記をしなくてもよいという合理的な理由は無いですもんね。
勉強になりました。細かくご教示頂きありがとうございました。
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