いつもお世話になっております。
過去問とミニテストの解説を読み、「同時履行」について疑問をいだきました。
長文になりますが、どなたかご教示いただければ幸いです。
*************
過去問27−32−2に関し、道場解説には、
「一度の履行提供で同時履行の抗弁権は失われない」
とあります。
一方、民法債権1のミニテストでは、最判昭16年3月1日の判例を示し、
「AのBに対する貸金について、Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。→ 正しい」
とあります。
私は、前出の過去問解説を読んだ後に、ミニテスト解説を読みました。
その際に、前出の過去問解説が思い浮かび、
「なぜミニテストのケースでは、返済について、履行提供をしつづけなくてもよいのだろう?」という疑問をいだきました。
ミニテストの問題を単体で読めば、特に疑問もなく、正解に納得できます。
しかし、前出の過去問とミニテストの問題を併せて読んだ時に、各ケースの違いが理解できないのです。
下記に実際の問題と関連条文、判例をコピペしましたので、この疑問についてよろしくお教え下さい。
【過去問:27ー32−2】
「AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
肢2 Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
→2.正しい。
同時履行の抗弁権は、履行の提供をすることによって消滅させることができる。
ところで同時履行の抗弁権を失わせるためには、履行の提供は一度でよいのか、それとも提供が継続されなければいけないのかを問うたのが本問である。
判例によると、双務契約の当事者の一方は相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものでないとされている(最判昭和34年5月14日)。同時履行の抗弁権の制度趣旨は「当事者間の公平」である。とするならば、たった一度の履行提供で相手の同時履行の抗弁権を失わせることができるとしたら、相手方は結果として先履行を強いられることがあり、当事者間の公平が達成できないのである。
したがって、一度の履行提供で同時履行の抗弁権は失われないとする本肢は正しい。」
【民法債権1ミニテスト内の問題】
「AのBに対する貸金について、Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。
→ 正しい
弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法第486条)。また、判例において貸金債務の弁済と受取証書の交付は、同時履行の関係に立つとされている(最判昭和16年3月1日)。したがって、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。」
【該当条文と判例】
◉民法486条
「(受取証書の交付請求)弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」
◉民法533条
「(同時履行の抗弁)双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」
◉最判昭34.5.14
「双務契約の当事者の一方は、相手方から履行の提供を受けても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない」
◉最判昭16.3.1
=該当判例は検索できず。
以上です。
過去問とミニテストの解説を読み、「同時履行」について疑問をいだきました。
長文になりますが、どなたかご教示いただければ幸いです。
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過去問27−32−2に関し、道場解説には、
「一度の履行提供で同時履行の抗弁権は失われない」
とあります。
一方、民法債権1のミニテストでは、最判昭16年3月1日の判例を示し、
「AのBに対する貸金について、Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。→ 正しい」
とあります。
私は、前出の過去問解説を読んだ後に、ミニテスト解説を読みました。
その際に、前出の過去問解説が思い浮かび、
「なぜミニテストのケースでは、返済について、履行提供をしつづけなくてもよいのだろう?」という疑問をいだきました。
ミニテストの問題を単体で読めば、特に疑問もなく、正解に納得できます。
しかし、前出の過去問とミニテストの問題を併せて読んだ時に、各ケースの違いが理解できないのです。
下記に実際の問題と関連条文、判例をコピペしましたので、この疑問についてよろしくお教え下さい。
【過去問:27ー32−2】
「AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
肢2 Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
→2.正しい。
同時履行の抗弁権は、履行の提供をすることによって消滅させることができる。
ところで同時履行の抗弁権を失わせるためには、履行の提供は一度でよいのか、それとも提供が継続されなければいけないのかを問うたのが本問である。
判例によると、双務契約の当事者の一方は相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものでないとされている(最判昭和34年5月14日)。同時履行の抗弁権の制度趣旨は「当事者間の公平」である。とするならば、たった一度の履行提供で相手の同時履行の抗弁権を失わせることができるとしたら、相手方は結果として先履行を強いられることがあり、当事者間の公平が達成できないのである。
したがって、一度の履行提供で同時履行の抗弁権は失われないとする本肢は正しい。」
【民法債権1ミニテスト内の問題】
「AのBに対する貸金について、Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。
→ 正しい
弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法第486条)。また、判例において貸金債務の弁済と受取証書の交付は、同時履行の関係に立つとされている(最判昭和16年3月1日)。したがって、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。」
【該当条文と判例】
◉民法486条
「(受取証書の交付請求)弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」
◉民法533条
「(同時履行の抗弁)双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」
◉最判昭34.5.14
「双務契約の当事者の一方は、相手方から履行の提供を受けても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない」
◉最判昭16.3.1
=該当判例は検索できず。
以上です。