土地と建物の所有者が抵当権設定時に同一であれば、法定地上権は成立します。まず、私はこの基準をとっかかりに覚え始めました。あとは、問題を解いて解説を読んでいくと基準が少しずつ増えていきます。
まずは、民法388条の成立要件を覚えて、そのあとでいろいろなケースを判例で押さえていかれてはどうでしょうか。
民法388条
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
成立要件は3つです。言い換えつつ整理すると、
①抵当権設定時、土地の上に建物があった
②抵当権設定時、その土地及び建物を、ある一人の人が所有していた
③その土地又は建物について抵当権が設定され、その抵当権が実行されて(競売の結果)、土地と建物の所有者が違う状態になった
この3つの要件だけで(判例知識によらずとも)正誤を判断できる問題がだいぶあると思います。これで判断できないケースをていねいに勉強するというのはどうでしょうか。
そういえば、更地のほうが、地上に建物がある土地よりも価値が高いという知識も、判例や法令の趣旨を理解するのに役立ったりします。解説読んでるとそういうところも、基準になって積みあがってきます。
過去の遺産引っ張って来ました。
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go 2011-9-13 22:31
はじめまして
早速ですが、以前にも、当掲示板にて法定地上権について
の質疑が掲載されていたようなので、重複でしたら申し訳ありません。
うろ覚えで恐縮ですが、平成19年最高裁判決にて、一番抵当設定時に土地建物が別所有となっておりながら、その後、法定地上権が成立した事案が、某答錬で解説されましたが、どうも、その判例の位置づけが理解できません。判例変更でもなさそうなので(最判2小平成19・7・6)、どのような理由で、成立要件が変わるのか理解できませんでした。
法定地上権がらみの判例ではどの程度整理していけばよろしいのでしょうか。
お忙しいところすいませんが、ご解説いただけたら幸甚です。
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五郎 2011-9-13 22:42
goさんへ
法定地上権成立要件
1抵当権設定当時、土地の上に建物があること
2抵当権設定当時、土地と建物の所有者が同一であること
3土地と建物一方又は両方に、抵当権が設定された事
4競売の結果、土地と建物の所有者が異なった
この判例の場合
1一番抵当権者 甲
2二番抵当権者 乙
時間軸
①甲の設定時に 建物と土地が所有者を異にしており
②土地と建物が同一所有者になった
③同一後に乙が抵当権設定
④甲の抵当権消滅
⑤その結果乙が一番に繰り上がり
⑥乙が抵当権実行で
法定地上権成立の判例です
民集61.5.1940