こんにちは 参考までに
処分の効力の停止
処分の効力を暫定的に停止し、処分がなかった状態にすること。
(懲戒免職処分の効力の停止)
処分の執行の停止
処分により課された義務履行確保のための強制手段を停止すること。
(退去強制令書による処分における強制送還の停止)
手続の続行の停止
処分の存在を前提としてなされる後続の手続(処分)を停止すること。
(土地収用に係る事業認定後の収用裁決の停止)
こんにちは
処分の効力の停止とは、処分の効力そのものを停止することだと思います。
処分の執行の停止とは、執行を停止することだと思われます。
手続きの続行とは、手続きを続けることを一端止めることだと思われます。
※処分の効力、処分の執行又は手続きの続行の全部又は一部の停止は処分の執行を妨げない。執行不停止の原則。※行審法及び行訴法の共通部分
※但し、処分の効力は処分の執行又は手続きの続行で対処できる時は出来ない!
※主さんの出した27年度の問題は、処分の効力と処分の執行の違いを理解しているかどうかの確認と条文を知っているかを過去の問題作成者は問うていたのではないでしょうか。
こんばんは
条文はそんな規定の仕方はしていないから(条文しっかり理解しよう)…
執行停止が及ぼす重大性の度合いは
効力停止>執行(取り上げる、強いる)停止≧手続停止
であることを押さえよう。
というのが一番短い説明なんですけどね。
***
この規定を理解するために必要なカギは、
比例原則と三権分立だと考えます。
行政理論のようなものを学習しているときに
「鳥(雀)を撃つのに大砲を使ってはならない」
って言葉に触れたことありませんか?比例原則という法理についての格言です。
「相手をいうこときかすためだけに核ボタン押してはならない」
ようなもの、かもしれません(物騒)。
ややかみ砕くとAという目的を達成するために特定の手段を用いるにあたって。
①適合性 目的に手段が適合しているか?
②必要性 制約が必要最小限度か?
③目的に比して手段が過大でないか?
という法理です。そこまで戻って考えてみると、当然の規定かもしれません。
一方で、
行政事件「訴訟」法なんですから、
個人vs.行政のバトルが数か月~数年、司法の場において展開されているわけです。
↑これが執行停止の要件の一つである「本案が適法に訴訟係属している」という話。
その間も原則として処分の手続きや執行は停止しないのはdoneさんの指摘のとおりです。
そのバトルの間も、何もしなければ、知事が必要な署名をした取消処分決定を出先機関に送達する手続きは進むし、執行官は抵抗する旦那と奥さん…いや所有権者を引きずり出して、原状回復のために建っていた学校…いや建物を壊しにかかるかもしれない。けれど、そのこと自体は行政法の原則から言って止まらない。
止まらないけど、原告の権利義務に重大な損害が出る+急がなきゃ手遅れ+本案(訴訟本体)は単なるいちゃもんではない+公共の福祉(「世間一般の幸せ」と言う建前)に重大な影響が出ない、という要件を満たした場合には、決着つくまで執行を止めようというのが「執行停止」です。
原告に生ずる重大な損害を防ぐという観点で考えたとき、
手続止めるだけで原告はひとまず救われるのに、効力そのもの停止したら…
(風さんの判例で言う収用裁決の例。収用裁決さえ止めれば、判決まではひとまず動かなくなる)
執行(実力行使)を止めるだけで原告はひとまず救われるのに、効力そのもの停止したら…
(同じく強制送還の例。強制送還さえ止めれば、判決出るまでは原告は現状維持できる)
これで、済むなら、効力の停止(処分はシロクロ決着つくまでなかったことにします)はできないよ、と言うわけです。
執行停止って正解肢のように「口頭弁論」不要、当事者からの意見聴取要…という比較的簡略、迅速な手続きです。口頭弁論は時間も手間もかかる。その間に処分の手続きは進む…。緊急を要するからこその取扱いです。
でも、そんな判決じゃないもの(決定)で、「あの処分の効力は一時的になくなりました」を乱発されたら、一通りの熟慮重ねて処分した行政の立場なくなりません?
効力の停止は、執行停止を検討する場合に司法がとり得る最終兵器なんです。
風さん、doneさん、ケバブワゴンさん>
お三方とも、いつも丁寧な回答をありがとうございます。
皆さんのわかりやすい説明で、今回も疑問が解決できました。まとめての御礼になってしまい恐縮ですが、皆さんに教えていただいたことをしっかり記憶に定着させて、勉強を続けたいと思います。